第305回 日本型3PL「期待していいこと、出来ないこと」(10)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

「トラックドライバーの荷待ち時間等の実態把握や解消に向けて、荷待ち時間等の記録を義務付けることとします。」これは先日国土交通省から公布された、ドライバーの長時間労働を是正するための施策です。

概要は以下の通りです。

(1)乗務等の記録(第8条関係)
  
トラックドライバーが車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上のトラックに乗務した場合、ドライバー毎に、

・集貨又は配達を行った地点(以下「集貨地点等」という。)
・集貨地点等に到着した日時
・集貨地点等における荷積み又は荷卸しの開始及び終了の日時 

等について記録し、1年間保存しなければならない。

(2)適正な取引の確保(第9条の4関係)

荷主の都合による集荷地点等における待機についても、トラックドライバーの過労運転につながるおそれがあることから、輸送の安全を阻害する行為の一例として加える。

この施策により、喫緊の課題として取り上げられるのは、路線会社の幹線便荷下ろしが該当します。

発店ターミナルでの積込み時間短縮は、荷主への集荷時間を早めることで既に対応し始めています。

一方で、着店ターミナルにおける荷下ろし渋滞は、かなりひどい状況だと伺っています。

路線会社は、荷主への集荷時間早期化と平行して、着店ターミナルでの順番待ち待機時間をいかに削減するかが、今後の経営へ大きなインパクトとなり得る問題です。

荷主においても、当日出荷が18時を回っている現場は早急な是正が求められます。

運賃値上げや集荷拒否へと進展する最重要課題です。

顧客配送への荷下ろし待機も、恒常的に1時間を上回っている場合は輸送拒否などの最悪事例も出始めています。

荷主・荷受人がともにトラックドライバーの長時間労働となり得る課題を早期に解決できないと、輸送インフラの維持が難しく成ることを想定しておくべきでしょう。

荷主は今、値上げと時短と顧客調整の三重苦を乗り越えなくてはならない時代です。

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それでは、「日本型3PLへ期待していいこと、出来ないこと」の続きをお伝えします。

今号は物流サービスにおけるデフォルト(標準)オプション(追加)について考察します。

「ドライバーが荷受人のリフトを使って荷下ろし作業をやっています。運送会社さんも納得して行っていますが、問題はありますか?」

よく相談される質問です。

回答は「大問題です!今直ぐに是正しなくてはなりません」と言わざるを得ないでしょう。

ドライバーが荷受人所有のリフトを使うことに大きな問題があります。

もし、怪我や人身事故が発生するとかなりややこしい問題となります。

車両事故は、車両の所有者に責任があります。実際に荷主構内などで、リフト使用時の人身事故が起きてしまうと、被害者・荷主・運送会社・荷受人・保険会社、そして労働基準監督署(報告義務)を巻き込んだ悲惨な事故処理が想定されます。

決して少なくはない、ドライバーによるリフト操縦。

自社の配送体制にこのようなリスクが潜んでいないかは、荷主として当然把握しておくべき内容です。

*6月22日(木曜日)物流センター立ち上げ・拠点移動をテーマとしたセミナーを開催します。
詳細はこちら 
http://www.f-logi.com/study/flogi_201706_tokyo.php

⇒次号に続く

※3PL(Third Party Logistics)の概念は以下をご覧ください。

http://www.f-logi.com/yougo/3pl.html

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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