第288回 2016年は“丙申(ひのえさる)”の年(6)〜評価基準策定その3〜

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

4月以降、燃料価格が上げ基調です。

為替相場は円高に振れていますが、原油先物・現物と共に 1バレル40ドル台で推移しています。

今回の値上げは、石油元売り各社の政策的な価格引き上げが目的だと推測します。

今年2-3月FOB価格からすると、約30%程度、原油相場が上がっていますが、小売り店頭価格は、なかなか相場通りにはいかないようですね。

1バレル当り50ドル以内であれば、トラック運賃への影響も軽微なレベルと思われますが、1バレル60ドルを超えるようだと、様相が一変する可能性があります。

荷主企業としては、原油相場も定期的にモニタリングしておく必要があります。

さて、本編は引き続き荷主企業の物流オペレーションに対する ”評価基準策定”がテーマです。

物流委託先(アウトソーシング先)を正しく客観的に評価するための「定性評価基準」を考察します。

今号は【定性評価モデル】における”現場オペレーション力”の内容をレビューします。

現場オペレーションとは、現場運営における遂行力とマネジメント力を併せた総称です。

物流現場を運営するには、以下7つのノウハウが必要となります。

1.ロケーション設計
2.要員配置/計画
3.進捗管理
4.波動対応
5.IT活用(WMS)
6.マテハン活用
7.5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)

まず、正しく物が流れるような導線となっているか?

入荷・入荷検品・格納・保管・出荷・梱包・検品など、それぞれの役割に応た場所割り、配置となっているかを見極めます。

次に、適切な要員配置が成されているか?

物が滞留せず清らかに流れていくには、物の流れと人の配置が重要です。

物が滞り、作業が遅れるのは作業者の配置ミスや不足によるものが主な原因です。

そして、リアルタイムで共有できる作業進捗情報

全ての作業者へリアルタイムで業務進捗を開示する仕組みや体制です。

作業進捗が開示されている現場とそうでない現場は、時間当たりの生産性が20%から30%程度違いが出るものです。

波動対応は物流現場では必須ノウハウとなります。

繁忙期の増員と閑散期の圧縮は、オペレーターが利益を出すためには、必須ノウハウであり、最も重要な評価項目となります。

ITマテハンの活用は、これからの省人力化時代を考えるうえで、
避けては通れない必須アイテムです。

ITとマテハンの最適化が図れていないと、品質及びコストは満足のいくレベルには達しません。

最後に物流現場評価で一番重視して欲しい5Sです。

5Sが浸透していない現場で、高品質で且つローコストな作業はあり得ません。

整理整頓が全ての始まりであり、1日の終わりとなります。

物流現場におけるオペレーション力は、上記のような視点で評価軸を作成し、委託先の正しい評価を行うべきでしょう。

特に、委託先が継続的に赤字収支である場合、荷主企業にとっては“継続取引リスク”が最大化していると判断できます。

自社のコストダウンだけを必死になって実行しても、委託先が赤字であれば長続きしない時代であることを理解するべきでしょう。

次号は、定性評価モデルの”物流IT力”について、考察します。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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