第227回 ポスト3PLの時代(25)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

前号に続き、Web通信販売企業A氏から相談された「物流コンペ」の模様を紹介 します。

今回の件で、A氏は多くのことを経験し且つ今後の物流管理を行う上で様々な手法 やノウハウを学ぶことができた。

物流コンペという現象を漠然ととらえたままで他社を巻き込み、十分な計画や 考察を怠ったことを自ら反省した。

また物流コンペの本質を見極める努力は恐らく成されていなかったと思われる。

自社の業態がネット通販であることを考えて、全体の特性や個別のノウハウなど、 競合に対する強みや差別化要素なども十分に検討を行ったうで、物流コンペは 行うべきだと痛感した。

アウトソーシングは単なる業務を遂行するうえでの手法と捉えていたが、 コンサルタントB氏の出現によって、その考えが劇的に変化したのも事実である。

一番印象の強かったコンサルタントB氏の言葉は、 「そろそろ日本型3PLから脱却を始めましょう!」だった。

当時はその意味することすら理解できなかったが、多くの経験を経てようやく 物流管理についての概念を得心することが出来るようになった。

リスクマネジメントやSLA(サービス・レベル・アグリーメント)、業務の可視化など、 まだまだ物流については学ぶべき事は多いが、今後も物流に関わりと関心を持ちその知識を 深めていきたいと強く心に誓ったA氏であった。

編集後記 今回登場した荷主企業のA氏やコンサルタントB氏、関係各社などフィクションではありますが、 それに近い企業と人物が筆者の記憶の中に存在します。

日本へ欧米式の3PL概念が伝わり、一般化したのはまだまだこの10年程度だと思います。

筆者自身、国土交通省の依頼を受けて「3PL研修セミナー」を日本全国の数会場で 講義しました。

東京に限らず、名古屋開催・大阪開催・九州開催など多くの物流事業者 さんが集まり、即席でチームを作り、当方のお題であるRFPに3PL事業者として分析・ 企画・提案(プレゼンテーション)をする内容でした。

1泊2日の合宿型ケーススタディーではありましたが、参加全員が全力で徹夜をしながら 企画書を作成した情景が今でも目に浮かびます。

あれから早くも5年以上が経過し、日本の3PLが欧米式を超えてより、荷主へ求められる 3PLへと進化していくことを切に願い当シリーズを終えたいと思います。

次号からは新連載「物流企業に求められる成長戦略」を仮題として、今後の物流企業が 成長し拡大を遂げるために求められる機能やサービスなどを戦略立案ストーリーとして お届けします。

ご意見やご質問などございましたら、いつでもお気軽にどうぞ!

akamine@f-logi.com (アカミネセイジ)まで

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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