第220回 ポスト3PLの時代(18)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

前号に続き、Web通信販売企業A氏から相談された「物流コンペ」の模様を紹介
します。

コンサルタントB氏から、「分離発注方式のメリット及ぼデメリット」について纏められた資料がプロジェクトメンバーへ配られた。

「分離発注方式のメリット及ぼデメリット」

1)分離発注におけるメリット

①センター作業・宅配・情報システムなど各々の得意なサービスを公平に選択できる。
②運用の仕様やルール策定など、荷主が自由に無限な策定が可能となる。
③透明性が確保される。
④価格の最安値を調達することが可能となる。
⑤元請けが介在しないことによる中間マージンが撤廃され、コストダウンとして還元される。
⑥それぞれのサービスにおけるリスクマージンが排除され、コストダウンとして還元される。
⑦ノウハウのブラックボックス化が最小レベルに抑止できる。

2)分離発注におけるデメリット

①責任の所在が分離する。
②各サービスと対等の関係であるため、リスクを全て負担しなくてはならない。
③契約から保守サービスまで、業際が広がる。
④情報漏洩リスクが拡大する。

コンサルタントB氏は、情報システムメンバーの質問に対して、「仰るとおり、元請けの一元化を図っておけば複数企業との関係を抑制したり、リスクの窓口一元化は可能となります。

一方で、最適なロジスティクス体制や最安価なロジスティクスコストを設計するうえでは、分離発注のほうが評価がうえだったのですよ」「更に、業務設計におけるフローのブラックボックス化を防止するためには、分離発注がベストなプランだと判断いたしました」。

コンサルタントB氏の考えでは、想定されるリスクを全て事前に抽出し解決策を講じておけば、元請一元化方式よりも分離発注方式の方が、問題の解決を計りやすいのだと言う。たしかに、想定されるトラブルシューティングを行ってみると、間接取引が原因となり、無駄に時間を浪費する業務フローが随所に現れた。

物流センターのアウトソーシングにおいて、分離発注方式はデメリットやリスクもけっして少なくはないが、荷主企業として事前に、十分な対策を講じておけば、十分に対応可能な取り組みだとA氏は悟った。

次号に続く…。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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