第213回 ポスト3PLの時代(11)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

前号に続き、Web通信販売企業A氏から相談された「物流コンペ」の模様を紹介します。

物流業務委託のあるべき姿について、コンサルタントB氏の意見は思ってもみない内容だった。

まず物流センターの作業契約(物流オペレーション)と物流センターの物件契約は分離するべきだと言う。

次に、物流センターで利用するWMS(倉庫管理システム)は自社で構築する方が望ましいとのこと。

ただし、基幹システムで運用するのではなく、別個にWMSを導入し、情報連携を図る手法が最適とのこと。

A氏の考えでは、物流業務を委託する物流会社の施設を使い、その物流会社が既に構築・保有しているWMSの方が、無駄な開発に関わる時間やコストを削減できると思っている。

なぜ、物流センターの物件契約と作業(オペレーション)契約を分離するのか、理解し難い考えである。

不動産を探す手間は相当な労力を必要とする。ましてや、WMSの自社開発など全くもって無駄な投資だと思えた。

A氏は、コンサルタントB氏へその疑問をぶつけたみた。

コンサルタントB氏の回答は、「一般的に投資については費用対効果でその投資判断を行います。

一方で、企業のライフサイクルを戦略的にみると、御社は成長期にあり今後の経営計画と、直近数ヵ年の実績から推測すると、まだまだ物量は増大することが想定されます。

この経営環境の中で、特定の物流企業へ依存度を高める施策はメリットもあるけれどデメリットも少なくはありません。

WMSは物流オペレーションを実行うするうえで、もっとも重要な核といえるものです。

その核を外部企業が保有し自社でコントロールできない状況を作るべきではありません。」

A氏は今ひとつ理解できない。

成長期にある当社であるからこそ、自社開発をやってたのでは時間が足りない。経験豊富な物流企業のシステムを利用する方が得策では?

との疑問を投げかけてみた。

コンサルタントB氏いわく、「たしかに瞬間的な点で現在を捉えると、開発に費やす時間は惜しいと思われます。

しかし、5年後10年後をイメージすると点ではありません。」

「ECサイトを中心とした通販会社である御社は、物流は極めて重要な業務であり 、顧客との接点となるコア業務といえます。」

「既存委託先と現在の関係を考えると、一刻も早く是正したいと思う気持ちは理解できますが、ここは将来に課題とリスクを先送りするのではなく、戦略的に物流を考えるべきではないでしょうか?」

それではと、A氏は物流センターを独自で契約する理由を問いかけてみた。

次号に続く…。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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