第168回 物流アウトソーシングの落とし穴!(1)~物流アウトソーシングには落とし穴がある~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

■物流アウトソーシングには落とし穴がある

荷主企業が考える物流アウトソーシングの成功とは、何を判断基準としているのでしょうか?

荷主企業のアウトソーシング視点は以下の3点が重視されます。

(1)委託開始月から始まるコストダウン
(2)業務の安定稼動
(3)一定期間後の改善によるコストダウン

物流アウトソーシングを実施する荷主企業の関心事は、やはりコストダウンが一番でしょう。

コストダウンについては、契約時に物流企業から提供される料金が確定している訳ですから、事前にその効果は判っています。

その次は、委託する業務が混乱なく立ち上がり、早期に安定稼動が実現できることです。

業務の無難なスタートと早期安定化については、物流企業のオペレーション実行力になりますので、トライしてみないと分からないことと思えます。

新しいアウトソーシングも安定化すると、次に荷主企業が期待することは、改善による更なるコストダウンです。

荷主企業とは、物流アウトソーシングを実施した場合に成功と判断出来るのは、当然の事ながらコストダウンが最も重視される成果と考えています。

しかしコストダウンばかりを注視すると、後に大きく後悔するような事態を招くことが多々あります。

それは物流アウトソーシングには、大きな落とし穴があるからです。

■物流部員の悲鳴と”SOS”

荷主企業が決断する物流アウトソーシングは、その企業毎の様々な理由を基に続々と実行され、多くの自社物流が物流事業者の領域へ解放されています。

その一方で、自社の成長を前提にした物流アウトシーシングは、昨秋のリーマンショック以降大きな転換期を迎えています。

船井総研ロジへ持ち込まれる相談が、ポジティブな話題からネガティブな課題となって顕在化されてきたのも、その兆候と言えます。

その課題とは、「今期中もしくは来期頭から物流コストを大幅に下げたい」といった無茶苦茶な内容があちらこちらで聞かれることです。

物量の増加を前提にした物流アウトソーシングは、今まさに危機的な状況となっているようです。荷主企業−物流部員の大きな悲鳴が聞こえてきます。

■落とし穴に堕ちるパターン

自社の物流アウトソーシングが失敗と感じている荷主企業は、そもそもアウトソーシング開始時から不安定な取引形態を行っていることがその理由として考えられます。

その理由とは、コスト削減に注力することにより物流アウトソーシングの本質的な課題を見失っていたことが原因です。

コスト重視のアウトソーシングは、落とし穴に堕ちる典型的なパターンともいえます。

次号に続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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