第132回 新型3PL〜非物流業の黒船来襲(1)~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

規制緩和による「貨物運送取扱事業者」に続々と新規参入事業者が現れています。

これまでの物流事業会社は主に、運送事業会社や倉庫事業会社が担ってきましたが、「非物流事業者」による物流サービスが展開されています。

物流業界は21世紀の「黒船来襲」を受けているといったところでしょうか。

非物流業が展開する新サービスは、従来の運送・保管・荷役といった物流3事業ではない切り口(突破口)で、それら3事業をも受託する現象です。

江戸時代の黒船は、異国(欧州諸国)による、鎖国政策をとっていた日本への通商目的での外圧でしたが、物流業界への「21世紀黒船」は、虎視眈々と物流事業会社の砦であった、荷主の「元請」を狙っているものです。

運送・保管・荷役といった実務を、再委託によってマージンを得る事が可能な現状では、非物流業が新たな事業展開として数十兆円市場に狙いを付けることも奇天烈(きてれつ)な現象とは言えないと思われます。

では非物流業が乗船する黒船は、どのような新サービスを持ち込んで来ているのでしょうか。

キーワードは以下の3点です。

1)「物流サービスはサブライン(メインサービスではない)」
2)「貨物運送取扱事業の参入低障壁」
3)「オペレーションと元請の分離化」

日本では3PLの定義そのものが、各社によって相違します。

定義が定まらない3PLサービスとは、どのような展開にも広げる事が可能となり、異業種の参入によってさらに新化するものと思われます。

世界的な不況の中、保守的にその業態に閉じ篭ることは、新規参入者の攻撃を受け、より鎖国現象に陥る懸念があります。

鎖国時代の日本は、技術革新(生産技術や交渉技術)が遅れ、世界の列強諸国にことごとく不利な条件を押しつけれました。

しかし、開国によって持ち込まれた技術によって、著しく発展した事も歴史が物語っています。

次号は、「21世紀物流黒船」の内容を考察していきます。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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