第107回 物流子会社の影響力その7

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

外販の獲れるレベルに達した物流子会社は、今後の物流業界においてイノベーター(革新者)としてどのような影響を持つのでしょうか。

まず第一に考えられるのは、これまでは最大の弱みとなっていたコスト競争力がついた事によって、物流事業会社として広く営業活動が可能となります。

親会社の物流、ないしはその関連する事業領域では優れた品質を持ち合わせていたものの、コスト競争力の無さが故に、最終選考で受注できなかった他業種の物流も、「高品質」「ローコスト」の二枚看板で実現可能となります。

元来、営業訪問先の候補数に関しては一般の物流企業がうらやむ程のコネクションがありました。

今後は、「言われた事を実行するオペレーション企業」から「言われる前に提案できる企画・提案集団」へと変貌していきます。

一般の物流企業から見ると、とても大きな脅威となり永年良好な関係にあった既存荷主との関係を揺るがす存在となります。

第二として考えられるのは、その「資本力」であり「資金力」が豊富である事が想像されます。

物流子会社自体の与信力もさることながら、親会社の資金力をバックに土地・建物・設備に加え、IT投資に至るまで豊富な資金力があります。

多くの物流企業が資金面において苦戦している中、強靭な財務力を持った骨太物流子会社は黒船的な存在と成りえます。

ノンコア事業への投資を止めた荷主にとって、「資金」と「業務」を提供できる企業は有難い存在と考えられます。

燃料価格・車両価格の高騰が続き、人手不足やコンプライアンスの強化といった逆風の中、勝ち残れる物流企業は今何をしているのでしょうか?

営業力の強化なのか、業務運営力向上なのか。もしかすると、普通では考えられない方策を思考中なのかもしれません。

「物が動く」=「物が流れる」ことに付随したサービスが物流サービスと思われがちですが、「情報」の動きや「お金(金融)」の動きに連動したこれまでにない新サービスこそが、勝ち残り物流企業のあるべき姿ではないかと筆者は思えてなりません。

「物流子会社の影響力」…終わり

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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