商流とは?流通を構成する要素の一つの概要から重要性まで解説

物流業界で働き始めると聞き慣れない言葉を耳にすることはよくあります。この記事では、「商流」という言葉を取り上げ、その概要について解説します。どのような意味の言葉なのか、商流を理解することがなぜ重要なのか、業務にどのように関連しているのかといった点を知りたい方はぜひ参考にしてください。

商流とは?

-概要から重要性まで解説!-

商流とは?

商流とは「商的流通」を略した言葉であり、商品の所有権が移っていく売買活動の流れのことです。「取引流通」と呼ばれることもあり、英語にすると「Commercial distribution」となります。
例えば、仕入先に対する発注や商品購入に伴う所有権の移動、情報の移動も商流の一環です。

商流は流通を構成する機能の1つ

商流は、商品が生産者から消費者の元に届くまでの一連の流れである「流通」を構成する機能の1つです。流通は、生産者や販売者、消費者など立場の異なる人の間にある時間や距離、空間的なギャップを埋め、利便性の向上を図ることを目的としており、商流以外に「物流」「金流」「情報流」から構成されています。それぞれの概要は以下の通りです。

・商流:生産者から消費者に届くまでの「所有権」の流れのこと
・物流*:生産者から消費者に届くまでの「商品」の流れのこと
・金流:生産者から消費者に商品が届くまでの「お金」の流れのこと
・情報流:生産者から消費者まで商品が届くまでの「情報」の流れのこと

物流と商流の違い

4機能の中でも、混同しやすいのが商流と物流 * です。商流は、所有権や金銭、情報などが移動することを意味しており、受注や発注、出荷、保管、販売管理といった取引上の流れが当てはまります。一方の物流は、実際に物が移動することを意味しており、商品がメーカーから倉庫へと移動すること、倉庫から販売店へ移動することなどが当てはまります。

このように、商流と物流は全く異なるものですが、密接な関係にあります。例えば、荷主企業の物流部門の業務を第三者企業に委託する「3PL(サードパーティロジスティックス)」を利用する場合、商流と物流の関係性を理解することが非常に重要です。3PLで出荷作業を行うだけでも、以下のように商流と物流が入れ替わり発生しています。

・荷主から受注データを受け取ること→商流
・受注データにもとづいて商品をピッキング・梱包する→物流
・商品を配送業者へ引き渡す→物流・商流
・出荷完了のデータをお客さまに送信する→商流

3PLにどこまで委託すべきかなど明確に判断するにはまずこれらの流れを理解しておかなければなりません。自社の商流と物流について理解するにはまず、業務単位で商流と物流を考えるとよいでしょう。

≫ 物流*: 「物流とは?概要から目的、主な機能まで基本を徹底解説」

商流を理解することの重要性

商流を理解する重要性とは?

在庫管理は、エクセルもしくは在庫管理システムを使用して行われるのが一般的です。ここでは、それぞれの方法の物流現場で働いている人の中には「商流の概要を理解しなくても業務はできるからいいのでは?」と思うかもしれませんが、そのようなことはありません。ここでは、なぜ商流を理解すべきなのか、その重要性を解説します。

取引先とスムーズで信頼されるコミュニケーションをとるため

商流は、自社だけでなく、所有権の移り先となる取引先にも関係するものであるため、商談中に話題に上がることがあります。そのような時に、商流の概要はもちろん、自社の商流についても理解できていないと、商談がスムーズに進められないだけでなく、取引先からの信頼を失いかねません。商流をはじめとして流通の各機能を理解しておくことで、物とお金の視点から企業間でのコミュニケーションをとることができ、業務も行いやすくなるでしょう。

業務のボトルネックを把握できる

商流を理解することで、サプライチェーンの流れ全体を把握することができます。それによって、業務のどの部分に課題があるのか、時間がかかっているのかといった課題やボトルネックが明らかになる可能性もあるでしょう。ボトルネックを把握し、改善策を実施することによってサプライチェーンの最適化を実現することができます。

物流現場では商物分離が求められる

商物分離とは、その名の通り商流と物流を分けることです。ここでは、商物分離を行う目的を解説します。なぜ、商物分離が必要となるのかわからない、といった方はぜひ参考にしてください。

納期やコストを明確にできる

企業によっては、営業部門が商品管理や配送まで行っているケースもありますが、そのような場合、配送作業を販売活動の一環として計上することがあります。つまり、商流と物流を一つにまとめて計上しているということです。このような形で計上してしまうと、物流に対してどのくらいのコストや納期がかかっているのかがわかりにくくなってしまいます。そうなると、今の物流の品質やコスト、納期が適正なのかどうかの判断も難しくなるでしょう。

一方で、商物分離が行われていれば、物流と商流をそれぞれ単体で考えることができるため品質、コスト、納期などの適正化を図ることが可能となります。

物流業務のアウトソーシングが可能となる

物流と商流を分けて業務に取り組むことができれば、3PL*に物流業務をアウトソーシングしやすくなります。物流業務をアウトソーシングできれば、別の業務にその分注力できるため生産性の向上も期待できるでしょう。また、アウトソーシング先は物流を専門に扱う企業であるため、適正価格で物流業務を行うことも可能です。

≫ 3PL* : 「3PL業者の選3PLとは?荷主企業の業務負担の軽減につながる業務形態の概要を解説」

船井総研ロジが注目!商流の話題のタネ!

「 商流」について、船井総研ロジが考える、今押さえておくべきキーワード・トピックをご紹介します。

商物分離の取組み事例

「質」を高める ≒ 生産性向上 の解決手段の1つに「分業」があります。古くは18世紀英国のA.スミス「国富論」にその端緒を見出すことができ、生産性向上のための分業の考え方は古くから着眼され研究され続けてきたテーマです。昨今の日本の卸売業においては商流と物流の分業がなされていない場合が多く、抜本的な生産性向上を妨げる要因の1つとなっています。
商物分離を遂行していく上で重要なことは「なくす:物流合理化」視点と、「ふやす:営業戦略の再構成」視点の2つです。どちらか一方だけを推し進めるのではなく、並行して行うことも重要となってきます。

・商物分離の取組み事例の詳細はこちらをお読みください
 ≫ 「商物分離の取組み事例」

商流ノウハウを持っている3PL企業

消費者の商品に対するニーズが高度化し多様化に対応した商品供給や、インターネットビジネス伸展によるロジスティクスの負担を鑑み、3PL事業者へ依頼する場合に、商流ノウハウがある事業者なのかも依頼する際のポイントとなります。3PLの業務対象は、広範囲の業務を一貫して受託できることは当然ですが、輸送においては計画や管理及び評価の部分も含まれています。さらに受発注業務の代行も盛んにおこなわれ、商品特性に応じたサービスが提供される傾向が強まっています。
この傾向を踏まえ、商流ノウハウを持っている3PL企業に委託する事は、業務の効率化という面においても有益になると考えられます。委託を検討している3PL企業が自社の特性とマッチするのか正しく判断するためにも自社の物流業務はもちろん商流の理解も重要となってきます。

・3PL業者の選び方の詳細はこちらをお読みください。
 「3PL業者の選び方」

12.9億個の配送をささえるアリババグループ「菜鳥」

毎年11月11日に行われる中国最大のECの祭典である「独身の日」のアリババグループの売上高は全世界のトップニュースになります。2019年にアリババグループ傘下の物流プラットフォーム「菜鳥網絡(CAINIAO)」は自社とそのパートナー物流会社で12.9億個の荷物を配送し、過去最高記録を更新しました。アリババグループがグループ傘下に巨大物流会社である菜鳥を置いているのは、商流と物流は密接な関係にあるためです。

・アリババグループの取組みの詳細はこちらをお読みください。
≫ 「中国「独身の日」12.9億個の配送をささえるアリババグループ「菜鳥」

まとめ

今回は、在庫管理の概要や目的、具体的な実施方法、行う際のポイントなどについて解説しました。在庫管理は、企今回は、商流の概要から物流との違い、商流を理解することの重要性などについて解説しました。商流とは、商品の所有権が移っていく売買活動の流れのことです。実際に商品が動く物流と混同してしまいがちですが、両者は異なるものです。また、自社の商流を理解することで、業務のボトルネックを把握しやすくなる、外部委託しやすくなるなど様々な効果が期待できます。企業の中には商流と物流を同じものとして扱っているケースもありますが、これからは商物分離が基本となり、商流・物流それぞれで最適化活動を行っていくことが重要となってくるでしょう。

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