運賃値下げ交渉のタイミング ~コロナ禍のいま、荷主と物流事業者がやるべき事~
先日、某荷主の物流部長さんから、「赤峰さん、荷動きが落ちて物流会社さんの営業アプローチが活発になっているようです。今、運賃値下げを交渉すると上手くいくのではないでしょうか?」と質問されました。
もしかすると、荷主の誰しもがそう思っているのかもしれません。
目次
荷主に告ぐ!いま、運賃の値下げ交渉するのはかなりキケン
私の回答は「今は、絶対に値下げ交渉は止めるべき」です。
たしかに、運賃市況は需給バランスのうえ、相場が形勢されています。荷動きが悪化した今、供給減となり需要過多であるのは事実でしょう。物流事業者も、荷量が落ちたからといって直ぐに値下げをして貨物量を確保するのは、ひと昔前の手法です。
スポット運賃は今の情勢を反映して下落しています。ただし、それはスポット相場となりますので、通常業務として契約しているものには当てはめないほうが得策です。
物流事業者からすると、主要荷主から値下げの要求があると下げざるを得ない可能性はあります。しかし、それは正に物流事業者にとって「泣きっ面に蜂」となり、遺恨が残ることとなります。
荷主がいま取り組むべきこと
荷主企業がいま取り組むべきことは、以下の3点です。
1.業務プロセスの標準化
2.過剰サービスの洗い出しと撤廃
3.省人力化・DX化の取り組み推進
いずれにしても、コロナ禍の今、運賃を含めた物流費を下げる方法は、値下げ交渉ではなく、自社の無駄を排除することと、社内外の連携を深め情報共有を迅速化することです。
では、3点それぞれについて詳しく解説します。

1.業務プロセスの標準化
受注から在庫引き当て・出荷指示・発送業務と物流が担う業務プロセスは各社によって様々ですが、日本企業は総じて欧米と比すると標準化が出来ていません。今後の省人化対応やDX対応を行う上で、欠かせないのが”業務プロセスの標準化”です。
物流における業務プロセスの標準化とは?
基幹システム以外の特定システム利用や、ある担当者しかわからない特殊作業などはどこの企業に多く見受けられます。これらの非標準業務を徹底的に抽出し、各プロセスの改善を含めた再設計を今のうちにやるべきでしょう。ニューノーマルを実現する為の公式は「DX=デジタル化=可視化=標準化」です。
2.過剰サービスの洗い出しと撤廃
どの企業も創業からここに至るまでにおいて特殊である複雑な顧客との取引ルールが存在します。その中でも、物流サービスに関する特殊な取り決めや、ややもすれば物流の過剰サービスとなっていることがあります。
過剰サービスの具体例
過剰サービスとは、相手がその行為に対して価値を感じていないことです。物流における過剰サービスの例としては、①時間指定 ②受注当日出荷 ③欠品と、この3点は至極当たり前のように、どの企業も重視していることですが、ここに物流の無駄が多く存在します。
物流合理化を進めるうえで重要なこと
この過剰サービスの洗い出しと撤廃は荷主にしか出来ないことですが、一般的に見て何が過剰であるのかは、物流会社は理解できているはずです。物流会社から見た、一般的な視点を荷主へ伝えることも物流の合理化を進める上ではとても重要な提案となります。
3.物流DX・省人化の取り組み推進
物流DX・省人化への取り組みは今が絶好のチャンスです。特に、物流DXは以下の通りに分類されます。
物流DXの分類
① 管理業務のDX
② 物流オペレーションのDX・省人化
③ 顧客インターフェースのDX
④ 社内情報のDX
⑤ サプライチェーン全域のDX
物流DXの効果が最大限に発揮される領域
この中で、④社内情報のリアルタイム共有が図れていない企業が多々あります。ここをDXによってシームレス化できれば、物流コストの削減余地はたくさんあり、我々コンサルタントは宝の山だと注目しています。
物流DXはコスト削減につながるのか
DXに取り組むことで物流コストはまだまだ削減可能です。
みなさま是非、物流DXに関心を持って取り組み、情報収集や研究を進めていただければと思います。
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これは入会しないと絶対に損しますよ!(笑)
さいごに
本年も大変お世話になりました。
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